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  • サファイアビーズのイアリングス

  • 2020/05/13
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    サファイア・イアリングス2

     

    サファイア・イアリングス

     

    ビーズ状の天然サファイアをゴールドのワイヤーに通して仕立てたボリューム感のあるイアリングスです。でも最近こんなデザインのサファイアのリングをどこかで見た記憶ありませんか。昨秋、六本木の国立新美術館で開催された“カルティエ、時の結晶”展に展示されていたカルティエ・パリ、1948年製作のリングがそれです。2枚目の写真をご覧ください。このふたつのリングはフランスの富豪、シンガーミシン創業者の娘、デイジー・フェローズのコレクションの一部で、後にカルティエ・コレクションに加えられたものです。ビーズ状のサファイアやルビーの連をドーム状に並べたブール型ですが、よくよく調べてみるとワイヤーの使い方や仕立てそのものの技法が違います。カルティエのリングはサファイアビーズを貫通させた直線状のワイヤーを両端のターミナルで固定する方法であるのに対し、このイアリングスは同じく貫通させたワイヤーを編み込み、それぞれのターミナルはご覧の通りビーズ先端に収めています。もしこのイアリングスがカルティエだったら!なんて野暮な考えは持たないでください。知る限りではカルティエは写真のようにブレスレットはあってもこの様式のイアリングスはつくっていないからです。

    カルティエがこれらサファイアやルビーのカクテルリングを初めて世に発表したのが1948年、でもそれよりも少しばかり昔、といっても40年程前、あのカルティエ3兄弟の三男ジャックがインドへしばしば渡航、マハラジャが所有していたロイヤルジュエリーをカルティエの“流儀”で作り替えたアールデコ・ジュエリーの影響も少なからずありそうですね。ゴールドの部分だってアールデコ・デザインには不可欠な自動車のフロントグリルを想起させますし。しかしカルティエの一部文献によると1940年から50年代の作品を“New look”と称していたみたいですが。