アンティークジュエリー専門店 ギャラリートイダ銀座

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  • “気象現象” ブルガリの流儀

  • 2020/05/20
  • ブルガリ・ブルガリ・リング2

    イタリアのスーパーブランド、ブルガリがつくった実にユニークなリングです。もちろん製作はイタリア、その後フランスに輸出され販売されたものですが、そのことはシャンク表側中央部に打刻されたフクロウのマークが物語っています。このフクロウのマークはフランスの輸入マークでお腹に記された“75”は18金製であるという証です。ところでこのリングの表面、何のデザインでしょうか?入手した際、ある博識な英国人女性に尋ねたところ、「う~ん」としばらく考えた後「これは“Cycle of the Weather”(天候の周期)を表現しているはずよ」と答えてくれました。なるほど!太陽や雲、そして雨粒、さらに風や雷らしき意匠もみられます。今日、私たち人類を取り巻いている世界的な異常気象がこんな作品を生むのかもしれませんね。というのもかつてブルガリはWWF(世界自然保護基金)への寄付のため、自然からインスパイアしたハイジュエリーを製作しオークションハウスに出品するという社会的運動などにも積極的に参画していました。

     

    リングデザインの基調となっているのはブルガリ・ブルガリ・リングと考えられますが、いわゆる量販のタイプはベゼル周囲にふたつのBVLGARIの文字、そして中央部分にはスライス状の円いマザーオヴパールなどが配置されたものです。様々な文献を調べてみましたが、これと同一デザインのリングを探し出すことはできませんでした。

    ブルガリ・ブルガリ・リング

     

     

    1993年、ブルガリは基本デザインは量販品と同じで、文字盤に世界直営店舗のある33都市だけの都市名を入れた限定の黒いプラスティックケースの“ブルガリ・ブルガリ・ウォッチ”を誕生させましたが、これらのユニークな試みはまさにブルガリの得意分野でした。まだブルガリの経営が一族に手にあった2011年より以前、彼らの創造性、着眼性、そしてユニークさには一種のイタリア的な?独創性があったのでした。残念ながらその後ブルガリはモエヘネシー・ルイヴィトン(LVMH)の傘下に入ってしまいました。これもスーパーブランドが世界で生き抜いていく術なのでしょうか。